これは剛と健がまだ3歳の時。
健はお昼寝中で、起きていた剛は休日暇を持て余していた俺と遊んでいた。
何で遊ぶ?と聞いていつも持ってくるのが小さなサッカーボールだ。
「剛はサッカーボールが好きなんだなー」
「うん、しゅき!おれしょうらいさっかーせんしゅになるんだ!」
サッカーボールを抱きしめて八重歯を見せたくさん笑う弟。
初めて出来た弟だから、可愛さもひとしおで。
ぎゅむっと抱きしめたらよしにぃだいすき、と抱きしめ返された。
可愛い可愛いv
「快彦ー」
昌行くんが俺を呼ぶ。
「なに?」
「ちょっとこっち来てみ」
手招きされて、俺は剛を抱っこしたまま昌行くんのところに行った。
「どしたの?」
「これ、お前にやるよ」
軽い金属音と共に俺の手のひらに落とされたのは、前から欲しがっていたキーホルダー。
「ホント?!え、なんでなんで??」
「新しいやつ貰ったから捨てようと思ったんだけど、快彦が欲しがってたのを思い出してさ」
「わーありがと!家の鍵につける!」
もっとよく見たかったから剛を下ろして両手にキーホルダーを乗せる。
昌行くんはものを大事に使うから、新品とさして変わらない状態だった。
うわ、嬉しい。
ホント嬉しい俺。
「ありがと昌行くん!」
「お古でごめんな」
「いいよ、俺これが欲しかったんだもん!あ、そういや新しいキーホルダーってどんなの?」
「これ」
ちゃり、と昌行くんがポケットから取り出したそれはピカピカで。
それもまた俺の興味を引いた。
「うわーカッコイイ!」
「だろー?友達がダブったって言うから貰ったんだ」
「今度お古になったらそれちょうだいね!」
「今からお古になるの待ってんのかよお前は」
「ダメ?」
「ダメじゃねぇけど・・・ま、いっか。今度また使わなくなったらやるよ」
「わーい!!」
喜んでいる俺の足元で。
俺のズボンの端を掴んでくいくい引っ張っている感覚。
下を見れば、剛に見上げられた。
その顔がどこか寂しそうだったから、慌てて抱き上げる。
「どした?剛」
「剛?」
「・・・・・・・・・ぅう・・・・・」
小さく唸る剛の目はどんどん潤んできて。
わけも分からない俺の腕の中で、とうとう泣き出してしまった。
「ふえぇぇえぇー・・・」
「え?何??何で泣くの剛??」
「剛ーどしたー?快彦がなんかやったのか?」
昌行くんの問いにもふるふると首を横に振るだけ。
二人して困っていると、急に腕の中が軽くなる。
目をやれば、博くんが剛を抱っこしていた。
「よしよし」
ゆっくりと上下に動かしながら小さな背中をポンポン叩く。
ぎゅむーっと博くんにはしがみ付く剛。
「剛は寂しかったんだもんねぇ」
優しい声色でそう言うと、剛はこくん、と頷いた。
「寂しいって・・・俺も昌行くんもいるのに?」
「違う違う。剛はよっちゃんがお兄ちゃんじゃなくなるみたいで怖かったんだと思うよ」
言われて首を傾げる。
「俺、お兄ちゃんだよ??」
「昌兄がいる時は弟になるでしょ?」
甘えたり懐いたり。
いつも剛と向き合う俺にはない行為。
剛にとってはそれが寂しかったんだよと博くんは言った。
「ごめんな、剛」
覗き込んで謝れば、くりんとした瞳が俺を見てにぱっと笑う。
どうやら許してくれたみたい。
「博くん、剛貸して!」
「はいはい」
手渡された剛をぎゅうーっと抱きしめる。
「俺はどんな風になっても剛のお兄ちゃんだかんな!」
「・・・うん!」
「だから寂しくなんてないんだからな!」
「うん!」
にっこにこして頷く剛を見て。
俺と昌行くんと博くんはホッとため息をついたのだった。
「・・・・・・・・・・・・・・あの頃は可愛かったのになーっていうか今も十分可愛いんだけどあの頃に比べたら扱いが粗雑
になったっていうかちょっと冷たくなったっていうかまぁそれはそれで格好いいから別に構わないんだけどー・・・・・」
「何一人で明後日の方見ながらニヤけて呟いてんだよ快兄」
「剛がちっちゃい頃に俺と昌行くんの仲を見て泣いちゃったこと思い出してたのよv」
「・・・・・・・・・・そんなことあったっけ?」
「忘れちゃったの?!3歳の頃だよ?!まだ快くん大好きvって素直だった頃だよ?!」
「うっせーな。3歳の頃のことなんか覚えてるわけねぇだろ?!」
「覚えといてよ剛ちゃーん!」
「快兄が今よりまともで大人だったことだけは覚えてるけどね」
「ええっ?!俺退化してんのかよ?!!」
「退化しすぎて常にウザいんだよ快兄はー」
「ちょっと横から入ってきて酷いことさらっと言わないで健ちゃん!よっちゃん悲しいわ!!」
「「その言い方がウザい!!」」
「ハモるなーーーーーーーーーーーーー!!!(泣)」
END
ふと思いついてしまった家族もの編。タイトル無しで(おい)
ぜんっぜんオチてる様子がありませんが(爆)よければこちらもどうぞお納めくださいませー!
2006.12.31

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