061118---




しげるくんは難しい顔してて、まあくんは空元気。だから俺は少し心配。



「ご馳走様!流石やまあくん!旨かったで!」

俺は創られた命やけど、ちゃんと食べるし寝るんやで。技術は進歩したんやね。
まあくんはそっか、ってめっちゃ嬉しそうに笑った。やから俺も嬉しくなって笑った。
昨日俺はしげるくんに坂本くんの誕生日覚えてるかって訊かれた。
俺は覚えてたから勿論って返した。
しげるくんは覚えてないのって言ったら、しげるくんは少し悲しそうな顔をした。
それはすぐに笑みに消されてしまったけど、俺はしっかり見たんや。
原因は推測するにプレゼントのあの箱やろう。
でも、俺には何にも出来へん、だってこれは俺が口出しして言い問題やないと思うから。




准一はきょろきょろと辺りを見回すと坂本を呼んだ。

「まあくん、しげるくんも一緒に写真撮ろう」

脚立をセットしながら准一は笑った。

「記念すべき初ショットやで。上手くいってもいかなくても記念品や!」

それを聞いて、坂本は酷く柔らかく微笑んだ。城島は何故だか焦りを感じる。
何か大切なことが、あったはずなのだ。

「しげるくん!早く!」

准一に急かされ城島は慌てて准一の横に立つ。坂本も城島の反対側に立ち、准一は二人の間で嬉しそうに笑った。
点滅する光の速度が速くなってきた時に明かりが落ちた。そして後ろから青白く眩い光が灯る。 城島と坂本は驚き後ろを振り返った。
カシャリ、とシャッター音が響く。准一は可笑しそうにくすくすと笑った。

「ダメやない二人とも、ちゃんと前向かな写らんで!」
「―これ、」
「撮る前に言えよ、驚くだろ!」
「これでいいんやもーん」

部屋に広がった星空に、城島は言葉を忘れた。
形ばかりに怒る坂本の声も准一の笑い声さえも耳に届きはせず、あの日の星空の下へとトリップする。

満天の星空、走る流れ星。その日は過去最大の星降る夜だった。
坂本が泣いている。城島は一緒に原に腰を下ろし空を眺めている。


「約束だよ」


城島が何か言う。



「今の気持ちを忘れないで」






涙が、零れた。







「しげるくん…?」

准一は城島の頬を伝った滴に気付き吃驚して声をかけた。
城島は我に返ったように准一を凝視した。

「准…?」
「何処か痛いん?大丈夫?」
「ちゃう、痛ない。僕、は…僕が忘れてしまっていたんやね…」

あの日の約束を、ちゃんと坂本は覚えていた。
あの日の光景を、ちゃんと坂本は覚えていたんだ。

流れる星、瞬き消えて。
流れる涙、煌めき流れ。

初めて見た笑顔を、心に焼き付けた筈だったのに。

「坂本…すまんなぁ…」

いつのまにか鍵をかけて蓋をしてしまった。
心が上げる叫び声に、気付かないふりをしていた。
本当は成果なんてどうでも良かった。
坂本と、−准一と一緒に笑って過ごしていたかった。

「思い出した」

城島のその言葉に坂本は目を見開き、准一は慌てて部屋を飛び出していった。
肩で息をして戻ってきた准一の手には、例の小箱。
城島はその決して大きくはない手からそっと小箱を持ち上げた。
かち、かち、かち、と番号を合わせていく。
0707、それは城島が研究所に入った日、そして奇しくも坂本出逢った日。
中に入っていたのはあの日落ちた星の欠片と、初めて坂本が作ったプラネタリウムの装置。
ぼろぼろで、スムーズに動かない機械は、決して上出来とは言えない代物だったけれども。

「しげるくん、よかったね」

准一が笑う。まるで自分のことのように嬉しそうに。

「たいせつなもの、なくさなくてよかった」
「…そうやね」

ぎゅうと准一を抱き締めて、坂本を見上げれば、彼も微笑んでいた。
伝わるといい。たった一言、この言葉に全て詰め込んだ僕の想い。



「ありがとお」






End.


准ちゃんハピバ!
ええと、10日間(28日まで)後悔(違)お持ち帰り自由後撤去。