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「(ヒーロー見参、ヒーロー見参)」 いつか見た映画のマネをしてみたけど、やっぱり俺は天下無敵のヒーローに変身できなかったみたい。 そうやってビルの屋上で黄昏てたら、茂君はいつの間にか隣でハモニカを吹いていた。 「音、あってないよ」 「デタラメに吹いとるもん」 「デタラメですか〜」 「それが一番の上達方法やて、松本大洋さんも言うとりました」 「いやいや本人は言ってないでしょうよ」 茂君のデタラメなハモニカは十人十色(これはちょっと違う表現かなぁ?)の音を出して、真っ青な空に広がっていく。 それはそれは青い、空。 「アンタ、下手ですねぇ」 くつくつと笑うと茂君は「不機嫌です」っていう言葉を型に流し込んで冷蔵庫にて固めましたよ的な表情になった。 「やっかまし!なんなら松岡吹いてみいな」 とうりゃっと変な掛け声が響いたと思うと、茂君はその手にあったハモニカを投げてきた。 青い空に弓なりに打ち上げられたその銀色の棒はキラキラ光って、まるで茂君の宇宙だ。 「(どこが宇宙かなんて、そんなの全く分かんないけど)」 「アンタもいいお年なんだからムリしちゃだめよー?」 「酷ッ!心はいつでも若さ満点な光☆GENJIや!!」 手の中に収まってしまうくらい小さなその銀色の棒は青い空も白い太陽も全部反射する。 俺はその眩しさに、ほんの少し目を細めた。 「惚れ直しちゃダメよー?年取ると胸キュンし易いんでしょ?」 「元々惚れてへんもーん」 まだ拗ねている茂君に俺はけらけらと笑って、ハモニカに息を吹き込む。 広がるのは、音か、宇宙か。 「(久しぶり)」 元気だった?なんて、俺のハモニカじゃないから言わないけど、さ。 ぽかんとしてる茂君が目に入ったから、目だけで笑いかけた。 昔の映画の主題歌を音でなぞる。 茂君は次第に楽しそうに笑ってくれた。 「(茂君)」 そうやって茂君が笑ってくれるんなら、俺はきっと酸欠になったって、全ての空にハモニカを鳴らしてみせるよ。 「(ヒーロー見参、ヒーロー見参)」 ヒーローの武器は銀色のハモニカ。 まだまだ未熟な、生まれたてのプチヒーローです。 それでも俺は 「(茂君みたいになりたいな)」 「(茂君は、俺のヒーローなんだよ)」 大丈夫。 茂君が助けてーって叫んだら、きっと、絶対、一番に駆けつけてあげるからね。 「(そうして、またハモニカを吹いてあげる)」 空に響く銀色。 蒼と銀とすぐ傍にある笑顔。 ヒーローの原動力はそれだけで十分。 随分と環境に優しいでしょう? 「(今度は、もっと幸せなハモニカを聞かせてあげるね)」 そうして高らかに叫ぶのさ! ![]() PINGPONGとGO!GO!モンスターはマイフェイバリットです(訳分からん) これ、読んだら記憶から消去しておいてくださいね(にっこり) |