俺くらいになると構ってもらわなくても何とも思わないわけよ!











素直じゃない












松岡は城島に抱きついて頭を撫でてもらっている長瀬の笑顔を横目で見ながらそう思った。
その様子を離れて観察していた山口と太一がにやにやと松岡を見る。
松岡は視線に気付いて口を尖らせた。


「何よ二人してにやにやしちゃって」
「いや、ねぇ?」

太一が山口を見ると山口は頷く。

「構って欲しいんだろ、茂くんに」
「な、何いってんだよ兄ぃ!」

真っ赤になった松岡が反論するが効果はない。そのうえ説得力もない。

「長瀬が羨ましいんだろ」

そう笑って太一が止めを刺す。

「リーダーも長瀬大好きだもんねー」
「何だよ太一くんだって!」
「だって?」

真っ赤な顔を更に赤くして怒鳴った松岡を山口は促す。

「淋しいんだろ?!」
「へぇ松岡淋しいんだ」

言ってからしまったと思った。
山口と太一は更に笑みを広げ、そして

「マボ淋しいんすか?」

長瀬に真面目な顔で心配されてしまった。

「何や松岡淋しいんやったら僕何時でも相手するで?」
「冗談!」

城島の笑顔を見てられなくて、松岡は楽屋を飛び出した。





































次の日、松岡が暗い顔で楽屋の前に立っているとポンと背中を叩かれた。

「おはよ、松岡」
「お…おはよう」

朗らかに挨拶をしてきたのは城島で、松岡は思わず体を強ばらせた。

「何や入らないん?」
「え?―入る」

しかし城島特に気にしていないようで、ほっとしたような残念なような気持ちになった。


「おはようさーん」


楽屋に入るともう既にみんな集まっていて、リーダーと一緒に入ってきたからか、
山口と太一には意地の悪そうな笑みで迎えられた。そして




「おはようございまっす!」




元気な挨拶と共に長瀬が松岡に突っ込んできた。
何時もなら城島に抱き付くのに、何故か今日のターゲットは松岡だった。

「いきなり何すんだよ!」

驚いたせいで五月蝿い心臓を止めようと努力しながら長瀬をど突いた。
(本当に心臓が止まったらどうしただろう、俺)
長瀬は痛いっすよーなんて言いながら松岡から離れる。



「マボ淋しかったんすよね、大丈夫っす!俺がいるから!!」



自信満々に言い切られて松岡は意識を手放しそうになった。


頼むからほっといてくれ。


しかしそんな願いも虚しく長瀬の抱き付き主は城島から松岡に移ったのだった。












































そして一週間が過ぎた。楽屋に入ると長瀬が抱き付いてくる。
ため息を尽きながら長瀬を剥がす松岡を城島がじっと見ていた。


「おはよ」


そこにタイミング良く入ってきた山口に、今度は城島が抱き付いた。

「どしたの茂くん…」

驚いたように、それでも抱き止める山口に城島はポツリと呟いた。

「やって何か淋しいんやもん。松岡に長瀬盗られたみたいで」
「あー…」

城島の言葉に山口は苦笑し、松岡は言葉を失った。

「僕ええ位置にいたんやなぁ…」
「いや、あなただけだと思うよ、あんなんに抱きつかれて喜ぶのは」
「あんなんとは何ですかー!」

憤慨したように長瀬が叫ぶ。松岡は酸欠の金魚のように口をパクパクさせた。

(何でそうなるんだ?俺が長瀬を盗る!?宝くじが当たるより有り得ねぇ!!)

大体、と松岡は長瀬を睨み付けた。

(こいつが悪いんだ、何もかも!)

自分が城島に抱き付くなんて想像も出来ないが、それでも。
甘えられないのも構ってもらえないのも全部長瀬のせいだ!
 と自分の性格は棚にあげて松岡は無言で長瀬を絞めにかかった。

「え?痛っ痛い痛いマボー?!どうしたんですか何なんですか急に…
た、体重かけないでっ痛い痛いですマボー!!」
「五月蝿ぇ黙ってろ!!」
「無理っ無理です!ギブー!!!」

そんな二人を呆気にとられてみているといつの間にきたのか、嬉々として太一がそれに加わった。
叫び声が2つになり、やがて絶叫もとい断末魔が響き渡り静寂が訪れた。









「要するに素直じゃないってことだよな」









太一は屍-松岡だったもの-を見ながら薄く笑った。自分も人の事は言えないけれど。


「さり気なく、さ。構ってやってよ」
「おん」


解ってると言う風に笑って城島は頷いた。



時にして矜持は邪魔でしかない。どんなに下らなくても捨てられない、素直になれない。
だから、長瀬が羨ましくて。



ねぇお願い見捨てないで。虫がいいのは解っているけど、総てを 認めて下さい。
あなたの優しさに俺たちは期待してしまう。あなたに全て押し付けて。








あなたは俺たちのリーダー。


そして掛け替えのないヒト。














END



松岡視点のくせに時々客観的。
Allでw素直になれないのは松岡だけじゃなくて太一くんもだとおもうのです。
っていうか太一くん最後イイトコどり!!?
Allほのぼのになってますか?(これってギャグ?!








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