暑くて暑くて 仕方ないんだ。









 花










『どした、長瀬』


リーダーがいつもの笑顔で話しかけてきた。
何でもないよ、というとそうか、と優しく頭を撫でてくれる。
それだけで身体の、熱が引くのを感じた。
暑くない。それどころか、先刻の苛立ちが嘘のように心も和んでいた。
魔法のようだ、と思う。


『ほら、長瀬にあげるわ』
『うゎ…何すかコレ』


リーダーが悪戯っ子のような顔をして取り出したのは氷。
その中には花が入っていた。綺麗な鮮やかな紅の花。
思わず見とれていると、リーダーは嬉しそうに笑った。


『溶けない限り、ずっとこのまま―…キレイなままなんやで』


へぇ、と相槌を打つ。眼は花を捉えたままだった。


ヒトを楽しませる為に選ばれた、花。
心を涼しく癒してくれる、封じられた生。


『―でも、少し気の毒やけどな』


小さな小さな声で呟いたリーダー。
少し困った顔をして微笑んでいた。










―あなたはコレを、可哀想だと思ったの?
人の為に犠牲になった花の命さえも憐れんだの?










「ねぇ…キレイだよ、リーダー」



俺が氷を溶かさない限り、あなたはずっとキレイなままなんだね。
氷の花なんかより、氷のあなたの方がずっとずっと癒されるとそう思ったんだけど、
どうしてだろう。



とてもとても キレイなのだけれど。
とてもとても 淋しそうなんだ。





熱がひかない。


ねぇ、リーダー…。どうしてだろう。












氷の中のあなたは何も言わない。



そういえば寒がりだったっけと、ふと そう思った。



















END

長瀬語り(?)不思議話。
こういう話好きなんです。救われないの。でも難しい。
でもほのぼのよりは書きやすい(捻くれ者








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