頭がズキズキと痛む。頭だけじゃない、体のあちこちが痛んだ。

どうしてだろうと思いを巡らせる。

その前に眼を開けなくては。起きなくてはならないー








立場(ポジション)  








眼を開けると光が飛び込んできた。眩しくて思わず眼を閉じる。
もう一度、今度はゆっくり眼を開けた。そして視線だけを動かして状況を知ろうとした。
どうやら楽屋のようだ。みんなは何処に行ったのだろうと体を起こす。

丁度そこにメンバー達が帰ってきた。



「あー!茂っ大丈夫かよ!?」


駆け寄ってきたのは松岡。確かに松岡の筈だったのだけれど、
城島は吃驚して何も返せなかった。
彼は今自分のことを「茂」と呼んだ。呼び捨てにした。


「倒れたんだぞ、あれ程体調管理はしっかりしろっていったのに。―茂!!!」
「は、はい!!」


大声で名前を呼ばれてつい敬語になった。
しっかりしろよ、と頭を撫でられる。長瀬に。

あの長瀬に説教されて頭を撫でられた。

城島はパニックになりかけた。ドッキリなのだろうか。


「長瀬…本人…やろ?松岡も長瀬もどないして僕のこと呼び捨てにすんねん」


別に嫌な訳じゃないのだが、と城島が言うと四人は驚いたように城島を見た。
演技ではない驚きように城島もまた驚いてしまう。状況が掴めない。


「太一ぃ…どうゆうことやねん」
「太一…だって…。どうしよう長瀬くん、茂がオカシクなっちゃった!」


長瀬…くん!?
太一が長瀬にくん付け!?太一こそオカシクなっちゃった!?



「え?ちょぉ…なんで太一長瀬にくん付けやねん」



城島の質問には達也が答えてくれた。思いもよらない答えを。






「長瀬くんが一番上だからでしょ?茂が一番下じゃない」







城島は気を失いかけた。











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■一方■



城島は困っていた。倒れたのは覚えている。
しかし此処は何処だ?楽屋だということは理解できたのだが、メンバーがー…変だ。


「茂くん!!心配したんすよー!!!」


その声と共に長瀬くんが突っ込んできた時は本気で気を失いそうになった。
長瀬くんはこの「TOKIO」のリーダーで最年長なのだ。その彼が自分の名前をくん付けで呼ぶ。


「あんたも年なんだから、もっと自分を大切にしてよね」


松岡くんが口をアヒルにして言う。確かに間違いなく松岡くんなのだけれど…
なんか、若い。つーか年だからって何やねん。こん中では僕は最年少や。


「茂くん、まだ時間有るから休んでなよ」


そう言ってタオルケットを持ってきてくれた達也くんはなんか、年取ってる。


「ありがとう、達也くん」


可笑しいと思いながらも素直にお礼を言うと、達也くんはタオルケットを握り締めたまま
固まってしまった。他のメンバーも僕を凝視している。


「シゲ…?」
「何やねん」


おそるおそる、といった感じで僕を呼ぶ達也くん。何か嫌な感じだ。

視線をずらすと長瀬くんが目に映った。今日の衣装なのだろう、赤を基調とした衣装の
ボタンがとれかかっているのに気付いて声をかけた。


「あ、長瀬くん、ボタン一個外れかけてますよ。
スタイリストさんにいってきた方がいいんちゃいますかね」
「長瀬…くん…?」


太一くんが頬を引きつらせていう。長瀬くんは石化してしまった。
失礼な。太一くんだっていつもは長瀬くんって呼んでる癖に。


「茂くん…?」
「何ですか松岡くん」


松岡くんまで僕に君付け。一体なんやっちゅーねん。


「シゲ、大丈夫か」
「なんやねん!!僕は至って正常や!!」


何だか腹が立った。いつもと違うことに。そして自分が馴染めないことに。

そんな僕に達也くんは少し驚いた顔をして、すまんと小さく謝った。
べつに謝って欲しかった訳じゃなかったから、僕も慌てて謝り返す。

そして少し何処か行き気味の松岡くんにすり寄った。
いつもは長瀬くんにじゃれつくのだけれど、石化してるから。

松岡くんは僕が抱きつくと真っ赤になっておろおろし始めた。
いつもなら超笑顔で抱き締め返してくれるのに、やっぱり可笑しい。


「松岡くん…ぎゅーしてくれへんの?」
「へっ!?」
「いつもだったらしてくれるのに…」


ひくりと引きつった口元を、確かに見た。どす黒いオーラが後方から押し寄せた事にも
気付いた。原因は解らなかったが。


「茂くん…離れてください」
「嫌やーどうしたん松岡くん僕のこと嫌いになってしまったんですか?!」
「そんなこと有るわけ無いジャン!!」


即答してくれるのはいつもの松岡くんと変わりないんだけど。顔色悪いよ?
ちらりと松岡くんの視線の先を伺うと、達也くんが見えた。どうやら黒オーラの発生地は彼らしい。



「僕、松岡くんのこと大好きなのに…ぎゅーしてくれへんし」



くすんとわざとらしく鼻をならして抱きつく腕に力を入れれば、松岡くんは面白いくらいに
狼狽えた。それから観念したのか吹っ切れたのか、強く抱き返してくれた。
いつもの感触に安心する。

でも、違う。
解らないけど解っていた。

此処は僕の居場所じゃない。


視線を彷徨わせて、鏡の中の自分を見て驚愕した。

自分だ、城島茂だ。でも、鏡の中の僕は、僕であって僕じゃなかった。


この中の誰よりも、多分年上。







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この中の誰よりも、多分年下。


城島はあり得ない、しかし現実に慣れつつあった。

騒いでも仕方ないし、メンバー達は自分のことを長瀬のポジション、つまり末っ子だと
思っているのだ。

いつか戻るだろうとどこか問題を直視するのから逃げた答えを出し、末っ子という普段
なら絶対にあり得ないポジションを楽しむことにした。

















END



あっはっは、の馬鹿話Part2。続く…かなぁ?
でも続きが思いつきません、どうしましょう(きくな








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