それは真の空気の如く













ふぅと意図せず吐いた息が白い。
誰が居るわけでもないのに思わず当たりを見回して、少しいたたまれなくなった。

空を見上げながら歩く。月は青白く瞬いていた。


真冬の夜の散歩が好きだ。
空気が澄んでいるような錯覚に陥り、気分が落ち着く。
冷たい空気が心地良く感じるから不思議だ。

これで雪が降ってくれば完璧なのだけど、と坂本は少々残念に思った。


「(でも、ほんとはそんなこと思っちゃいけないんだよな)」


雪は、脅威になる。人間が太刀打ち出来ない自然の災害。


「(それでも)」
「好きなんだよな」


東京は滅多に降らないから、ありがたみが増すっていうか。

でも、排気ガス等で黒くなってしまった白を見ると悲しくなる。




「(まるで、俺)」




大人になって、社会の裏を知って、何時の間にか汚れていった。
今の俺は完全に黒だ。


「(あぁ、あいつら今何してるかな)」


会いたいな、と思う。


言い訳する訳ではないけど俺は黒に負けたんだ。

あいつらは、知ってもなお白のままで。
いや、鮮やかな色を纏って輝いている。



「(弱くてごめんな)」








「会いたいなぁ」









あいつらと居る時だけは、俺に白が混じる。俺は灰色になる。

決して白には戻れないけれど。


あいつらと居る時だけは、俺も色鮮やかに輝けるような気がして。







冬の空は、心を落ち着けさせる。


心に平静が訪れて、俺は余計に切なくなった。






















END


坂本くん独白っぽく。
羨むことはしないけれど、近くにいたいとは思う。
まざまざと自分の色を見せ付けられるような気もするけど、それよりも。
側に居たいと思えるのは。








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