+僕と君と後始末+
「何しとんの?」
城島は楽屋前で蹲った坂本を訝しげに見た。
入れない、と憮然とした表情で坂本は言う。
同じ境遇に城島は苦笑した。
「あー疲れた」
バタンと楽屋のドアを開いた瞬間見計らったかのように井ノ原が坂本目掛けて
突っ込んできた。
何の構えもしていなかった坂本は見事に吹っ飛び廊下に倒れる。
「なな何すんだよ!?」
「それこっちの台詞だよ!酷いよ坂本くん!俺を放ってリーダーと浮気してたなんて!!」
「はぁ?!」
訳が解らない、と坂本が抗議の声を上げるが長野の冷ややかな視線に黙殺
されてしまう。
心なしかみんなの視線が痛い。
「何だよ浮気って…俺は誰のモノでもないっつの」
ぼそりと呟いた坂本の頭を岡田が撫でる。
優しい動きのはずなのに何故か突き刺さるようだ。
「まあくん」
ああ、まあくんなんて久しぶりに呼ばれたな、なんて感慨深く浸ってる余裕など
欠片もなく。
普段温厚で更に容姿が整ってるやつが怒ると怖いなと、頭の隅でぼんやり思った。
情けないことに涙目だ。
勘弁してくれと心の中で許しを請うが当たり前だが伝わらない。
井ノ原重いよ怒っても目がないよ、早くどいてくれ、とか、
剛はカルシウム不足だとか、健は睨んでも迫力無いなとか、
意識は無意識に逃避する。
ゆうるりとした動きで岡田の手が離れ、それに続いて井ノ原も離れた。
「じゃあ、」
長野が笑顔で手を振る。
「松岡に謝ってくるまで帰ってこなくて良いから」
目の前で無情にもドアは閉められた。
そして今に至る。
「まあ、共犯やし」
城島はからからと笑って手を差し出す。
その手を取るのは酷く容易いことのはずだったのだけれど坂本は躊躇せずには
いられなかった。
覚悟を決めて手を掴む。
松岡の奴覚えてろよ、と坂本は低く唸った。

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