真昼の氾濫(岡視点坂

ライオン注意報(坂視点岡

センチメンタル症候群(井視点坂




戴いてしまいました!!わっほぃ(嬉
さえちょんの戦国BASARA独眼竜中心サイト「センチメンタル※女性向け


























真昼の氾濫




昼間の電車は夜の電車より、切ない。



あったかい空気があんまり血の回らない頭とか心臓とかをぐるぐる回って。


(今にも泣きそうだ)


俺たちはほんの少し『普通』をはみ出した生き方をしてきたから。
こんなにも温かい日の光で泣きそうになる。


(まぁくん)
(俺は君に会いたい)


会って、まぁくんの世界の中に飛び込んでしまいたい!



(まぁくん!)





眠っているような自分の恰好に、皆が騙されてくれますようにと俺は祈る。


(泣きたくなんかないよ)
(でも)
(止まらないんだ)




昼間の電車は温かすぎて、あらゆるものが存在していそうだと錯覚する。
くらくらして、まるで真夏の蜃気楼。


この世の普通なんか全然分かんないけど。
この世の普通なんか全然考えられないけど。


まぁくんがわらっていてくれれば



(俺はそれでいい)


(生きていけるよ)




ずずっとすすった鼻は、多分少しだけ赤くなってるんだろうな。
想像したらちょっと笑ってしまった。


(赤鼻のトナカイは)
(サンタさんが必要)


(俺も一緒なんだなぁ)



目を開けた先は、やっぱり眩しかった。
まるで白の世界みたい。






(まぁくん)

(今、会いに行くよ)

















































ライオン注意報





君じゃないとさ






「おーかだーおーかだーたっぷりーおーかだー♪」



耳について離れない、そんな言葉がぴったりな音に、俺は岡田の名前を入れて歌う。


本人は、居ない。


「塞がれた今日を、恨んだ♪」


一瞬で他の曲に飛ぶのは、思いついたものを次々と歌っているから。


「後悔も傷も愛も抱きしめてー居たい痛い♪」


歌っても、歌っても、なんだかそれら全てが違う気がして。


「おーかだーおーかだー♪」


あぁ、俺は君に会いたいよ。


外は見事に強風。
女学生にはスカート注意報。
あ、これってセクハラ?


「岡田」


歌じゃなくて普通に言ったその名前に、何故か笑った。


(お前はさ)
(俺が呼んだら必ず来てくれる)

(だから、呼ばないんだ)



もしもこの強風が今から世界を掃除しにまわって、そこに俺が巻き込まれても。


「来てくれる」


うん、と自分に言い聞かせる様に俺は頷く。
自己満足でも、自惚れでもなく。


「来てくれるよな、岡田」


ただ、信じてる。

例えばそれが綱渡りの最中の様に不安定でも、
固まる寸前なゼリーの様に脆くても。


(信じることは)
(弱いけど)


(強い)




風は止まない。




(岡田)

(君じゃないとさ)


ズボンの尻ポケットに突っ込まれた携帯。


そうだ、信じよう。


(お前から電話が掛かってくるまで)
(あと)


風は止まない。



(3)



まるで百獣の王の、ライオンだ。



(2)



きっと第一声は『坂本くん?』に違いない。



(1)



だから俺は笑って、『そうだよ』と答えよう。







(0)












































































センチメンタル症候群






世界の全てが君だけだったなら!







「何見てんの坂本くん」
「んー?」


ぼうっとして窓の外を、頬杖しながら坂本くんに聞いた。
別に目線を辿れば分かってしまうんだけど。


「…中学生?」
「うん」


中学生がわあわあと騒ぎながら帰ってく。
もうちょっとTPOを弁えないかねぇなんて思う俺は、


(もう、年寄りなのかな)


「あのさ、井ノ原はさ、」
「うん?」
「切なかった?」
「なにが」
「その、中学生の時とか」


切なかったかなんて、普通聞かないだろうけど。


「…坂本くんは?」


そう言うと坂本くんは少しだけ悲しそうな横顔を見せた。


「俺はさ、なんていうかさ。うん、でも、切なかった」
「…」
「世界の尺度なんか全然分かんなくてどう生きればいいのか分かんなくて、
でも大好きなものがあってそれを大事にしたくて」
「…うん」
「時々すごく寂しくて一人で泣いて人前で笑って」


そう言って、坂本くんは腕に顔を埋めてしまった。



(俺は)
(どうだった?)


神を信じない子供には、その小さな手のひらが全て。
ぎゅうと握り締めたなにかを守るために躍起になって、


(そしていつも)
(思い知らされてたんだなぁ)


愛しさで満杯になった小さな手のひらじゃ、なんにもできないって。


(もう)
(その愛しささえ思い出せないよ)


「俺は、」


ぽつりと落ちる俺の言葉。
線香花火みたいに、さびしい。


あの小さな手のひらからは、随分と成長した筈なのに。


(まだ誰も、救えやしない)



(坂本くん)

(今すぐ君を救えたらなぁ!)



そしたら俺は、あの小さな手のひらに握り締めていた愛しさを取り戻せるかもしれない。
何も恐れずあらゆるものへ、大好きだと叫べていたあの日に。


(俺は君を救いたいよ)


ぐしゅぐしゅと鼻を啜る音が聞こえたけれど、今の俺じゃあその涙さえ掬えない。



(坂本くん)



昔の俺には、その小さな手のひらが世界の全て。
今の俺には、目の前の坂本くんが世界の全て。


(お願いかみさま)
(今こそ大好きなものを守らせて)




そしてその涙を止められますように!